弁護士楾大樹の法律相談室

離婚・男女問題

【幼児のある夫婦の離婚について】 (相談者30代 女性)
Q. 夫と離婚することになり、3歳の子を連れて実家に帰りました。離婚の手続はどのように進めた
 らよいでしょうか。

A. 離婚に際して取り決めておくべきことは、
 @親権者、A養育費、B面接交渉、C財産分与、D慰謝料などです。
  合意ができれば離婚届を提出することになります。合意書を公正証書にしておくと、支払が滞っ
 たときには裁判手続を経ずに強制執行できます。
  話し合いが困難なら、家庭裁判所に調停を申し立てることになります。調停でも話し合いがつか
 なければ訴訟を起こさなければなりません。
  お子さんが小さいので、もし争われたとしても母親であるあなたが親権者となるでしょう。
  そうすると相手方には養育費を支払う義務があります。金額については、両親の収入、子の数・
 年齢を考慮した算定表が参考にされています。算定表はインターネットでも参照できます。
  養育費は20歳になるまでとするのが普通ですが、両親の学歴や資力等を考慮し、大学卒業ま
 で、高校卒業まで、とするケースもあります。
  面接交渉(親権者でない親と子供が会う)については、月1回程度とするのが一般です。

Q. 将来私が再婚しても、養育費は請求できるでしょうか。
A. 当事者の生活状況等に関して事情の変更があった場合には、養育費の増減を求めることがで
 きます。子が再婚相手の養子になったり、再婚相手が生活費全般を負担するようになったといった
 事情があれば、減額される可能性があります。

Q. 子の姓はどうなりますか。
A. 離婚すればあなたは原則として旧姓に戻りますが、子の姓は当然には変わりません。
  子の姓を変えるには、家庭裁判所に申立をしなければなりません。

Q. 離婚するまでの生活費は請求できないのでしょうか。
A. 離婚成立までの間、夫に生活費(婚姻費用)を請求できます。離婚の手続が長引きそうなら、
 婚姻費用分担の調停をすぐに起こした方がよいでしょう。

【有責配偶者からの離婚請求について】  (相談者 30代 男性)
Q. 私は10年前に結婚し、同居していますが、長い間妻とうまくいっていません。子供もおりませ
 ん。
  1年ほど前から、私はある女性と交際しており、この女性と結婚したいと思っています。この女性
 のことは妻にばれてしまっています。先日妻に離婚を切り出したところ、慰謝料1000万円くれな
 どと要求してきて埒が明きません。

A. 調停を経て裁判になると、離婚は認められづらいと思います。奥さんを説得するしかないでしょ
 う。
  自分が浮気(不貞行為)等をしておいて、奥さんに離婚を求めるような虫のよいことは原則とし
 て許されないことになっています。
  ただし最高裁は、例外的に@別居が長期間に及び、A未成熟の子がない場合は、B相手方が
 精神的・社会的・経済的に過酷な状態におかれる等の事情がなければ、離婚が認められるとして
 います。
  本件では奥さんと同居されているのですから、原則どおり離婚できないことになりそうです。

Q. 妻に慰謝料を払わなければなりませんか。
A. 女性と肉体関係があれば、慰謝料の支払義務があります。
 ただ、肉体関係をもった時点ですでに婚姻関係が破綻していたのであれば支払義務はありません
 が、婚姻関係の破綻というのは簡単には認められません。
  女性があなたを既婚者と知っていたのなら、女性との連帯責任です。 まずは交渉や調停で奥
 さんを説得し、奥さんが慰謝料の額次第で離婚してくれるのなら、奥さんの要求する額を支払って
 離婚するのが得策かと思います。離婚できれば、奥さんに生活費を支払う義務もなくなります。
  奥さんを説得しきれないようなら、長期戦になるかもしれません。

【住宅ローンと財産分与】 (相談者 40代 女性)
Q. 5年前に夫名義でマンションを購入し、夫と小学生の長男と一緒に住んでいます。住宅ローン
 も夫名義ですが、私は連帯保証人になっています。
  これから離婚を考えているのですが、離婚するとマンションと住宅ローンはどうなりますか。

A. 離婚の際には、夫婦で築いた財産を分与することになります。
  本件のようなケースでは、今後このマンションに誰が住むのかという問題をふまえ、登記名義を
 変更するのか、ローンをどちらが払うのか、考えていく必要があります。
 @どちらもこのマンションか出て行く場合
  マンションは第三者に売却し、売却代金よりローンの方が大きい場合は、残ローンの負担割合
 を夫婦で決めていくことが考えられます。負担割合は、基本的には半々となります。
 Aこのマンションに夫(と長男)が住む場合
  登記名義は夫のままとし、夫がローンを払っていく方向で話し合うことになるでしょう。
  この場合、奥さんを連帯保証人から外したいところですが、それには金融機関の承諾が必要で
 す。別の保証人を立てるなどして、金融機関と交渉することになります。保証人から外してもらえ
 ず、その後ローンの支払が滞った場合は、奥さんに請求が来る可能性があります。
 Bこのマンションに奥さん(と長男)が住む場合
  登記名義を奥さんに変更し、ローンを奥さんが支払っていく方法が考えられますが、金融機関
 の了解を得る必要があります。
  もしくは、登記名義は夫のままとし、ローンも夫が払うこととしたうえで、夫に家賃を払って住み
 続ける方法もあります。家賃分と養育費を差し引きして、無償で住むということもありえます。
  その場合、たとえば「長男の高校卒業まで」といった期限を定めることも考えられます。
  ご夫婦での話し合いが難しければ、弁護士を代理人として交渉するか、家庭裁判所で調停をす
 ることになります。

【内縁関係について 】(相談者 20代 女性)
Q. 私と夫とは、籍が入っておらず、結婚式などもしていませんが、結婚を前提に5年前から同居
 を続け、夫婦同然の生活をしてきました。互いの両親にも挨拶に行き、親戚などからも夫婦と思わ
 れています。子供も1人います。しかし、夫は女性を作り、先日一方的に家を出て行ってしまいまし
 た。

A. あなたとご主人との関係は、いわゆる内縁関係と言えると思われます。ご主人や相手の女性
 に慰謝料を請求できます。
  内縁関係とは、@当事者間に婚姻の意思があり、A社会的にも夫婦として認められているが、
 B婚姻届を出していない、事実上の夫婦関係をいいます。
  婚姻の意思の有無は、共同生活の実態、親族等への紹介、妊娠、結納・挙式等の有無などを
 総合的に考慮して判断します。
  あなたの場合、結婚式等をしていませんが、5年間も同居し、子もいること、親族などからも夫婦
 と認識されていることからすると、内縁関係が成立していると言ってよいと思います。
  内縁関係においては、一方が死亡しても相続権がないなど、戸籍にかかわる面では法律上の
 夫婦とは異なります。しかし、それ以外の面では法律上の夫婦と同様となります。たとえば、第三
 者と肉体関係を持てば慰謝料を請求できます。正当な理由なく内縁関係を破棄した場合も慰謝料
 を請求できます。また、内縁関係解消の際には、離婚の際と同様、2人で築いた財産の分与を求
 めることもできます。

Q. 今後の生活費や養育費は請求できますか。
A. 法律上の夫婦なら、正式に離婚が成立するまでは生活費(婚姻費用)を請求できます。しか
 し、内縁の場合、事実上関係が破棄されれば、内縁関係がなくなりますので、それ以降は生活費
 の請求はできません。
  養育費については、相手方が子を認知すれば、請求できます。認知してくれない場合は、家庭
 裁判所で調停・裁判により認知を請求し、その上で養育費を請求することになります。

【インターネット婚活トラブル 】(相談者 30代 女性)
Q. 結婚相手を見つけるサイトを通じて、ある男性と知り合い、結婚前提で交際してきました。しか
 し、先日、その男性が既婚者であることがわかりました。職業や年収なども嘘でした。大きなショッ
 クを受けています。

A. 最近、このようなトラブルを時折耳にするようになりました。
 結婚する気がないのに結婚するかのような態度を取り、性的関係を持ったり、金銭的な援助をさ
 せたりするような悪質なケースでは、慰謝料などの請求ができるでしょう。
 慰謝料の額は、悪質さや交際期間などによりますが、多くても数百万円程度でしょう。
 金銭等を騙し取られたのなら、取られた金額分の損害賠償請求ができます。また、詐欺罪が成立
 し、刑事処罰が可能なケースもあるでしょう。
  とても手の込んだ手口で女性を信用させたケースも経験したことがあります。世の中には、信じ
 られないような大嘘をつく人がいます。
  本人確認の書類を提出させるなどして安心感を謳っているサイトもありますが、そのようなサイ
 トでも被害は出ています。
  妊娠してしまうと、母体保護法上、中絶するにも原則として相手の同意が必要とされているた
 め、中絶できるとは限りません。下手をすると、人生を大きく狂わせてしまうことになります。
  慰謝料などの請求をしても、相手にお金がなければ、お金を取れないこともあります。
  インターネットで知り合った人を安易に信用しないよう、注意が必要です。

【認知について 】(相談者 20代女性)
Q. 妻子ある男性の子を妊娠し、産むかどうか迷いましたが出産しました。しかし、彼の態度は冷
 たくなり会ってもくれません。
  認知や養育費の請求をしたいのですが、どうすればよいでしょうか。

A. 婚外子については、父親の認知によって父子関係が発生します。彼が子を認知しないのであ
 れば、家庭裁判所に認知の調停を起こすことができます。

Q. 彼の携帯番号やメールアドレスはわかりますが、住所がわかりません。調停を起こせますか。
A. 弁護士に依頼すれば、弁護士が弁護士法に基づいて携帯電話会社に照会をかけ、その電話
 番号の契約者、契約者の住所を調べることができます。認知調停には相手方の戸籍謄本が必要
 ですが、判明した住所から弁護士が住民票を取得して本籍地を突きとめ、戸籍謄本を取得し、調
 停を起こせます。
  どうしても住所がわからなければ、その旨を裁判所に説明して調停を起こすしかありません。
  認知すると相手方の戸籍に子供が記載されますので、簡単に認知してくれないかもしれませ
 ん。DNA鑑定をし、裁判官の審判で強制的に認知させることになれば、鑑定費用も必要です。
  認知されれば、養育費を請求できます。

Q. 彼の奥さんはまだ私のことを知らないようですが、もし私のことを知れば、私に慰謝料を請求し
 たりしないでしょうか。

A. 彼が既婚者と知りながら不貞行為をしたのですから、奥さんに慰謝料を支う義務はあります。
  調停を起こすと、裁判所は相手方に調停期日に出席するよう連絡します。通常は裁判所から相
 手方の自宅に郵便で通知されますので、これを奥さんが開けてみるかもしれません。
  ただ、事情を説明すれば、奥さんに知られないよう郵便ではなく携帯電話に電話して行うという
 配慮はしてくれるようです。

  もっとも、認知した後、奥さんが戸籍謄本を見れば、慰謝料を請求してくるかもしれません。
Q. それなら認知してもらわない方がいいかもしれませんね。
A. 奥さんからの慰謝料請求がどうしても心配なら、話し合い次第で、認知はしてもらわず、養育
 費に相当するお金の支払だけを取り決めることもできるかもしれません。 認知請求権は性質上放
 棄できませんので、いったん認知を求めないことにしても、後でいつでも認知請求できます。

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