弁護士楾大樹の法律相談室

損害賠償

【医療過誤について】(相談者 50代 女性)
Q. 1ヶ月前、夫は頭痛で病院を受診して帰宅した翌日に亡くなりました。
  医師に見落としがあったのではないかと思います。

A. 医療過誤の損害賠償請求が可能かどうかは、最初の法律相談の段階では、「明らかに
  無理」と判断できるケースはありますが、「これは勝てそう」という判断はできない
  のが普通です。カルテ等を見なければ何とも言えませんし、弁護士も医学の専門家では
  ないからです。

  訴訟になった場合、病院側の過失等について、すべて患者側が立証しなければならず、
  立証できなければ患者側が敗訴します。ですから、提訴前に証拠をそろえ、
  勝訴できそうだという見通しをつける必要があります。
  そのためには、カルテ等の入手が必須です。
  自分で病院へ行ってカルテのコピーをもらってくれば弁護士費用はかかりませんが、
  病院側が都合のよいようにカルテを改ざんする可能性があります。
  カルテ改ざんが心配なケースでは、カルテの入手や病院との折衝は弁護士に任せた方が
  無難です。
  弁護士は、裁判所にカルテ等の「証拠保全申立」を行い、裁判官や弁護士が抜き打ちで
  病院を訪れてカルテ等の提示を求め、その場でコピーをとるなどします。

  遺体も重要な証拠です。本件ではすでに埋葬されてしまっていますが、
  解剖して死因を調べたうえで埋葬すべきでした。

  弁護士は、カルテ等を検討し、医学文献を調査し、協力してくださる医師を探して
  意見を聞き、勝訴できそうか判断します。

  医学の素人である患者側が、医学の専門家を相手に医学的な主張立証をするのは
  容易ではなく、医療訴訟の原告勝訴率は、通常の訴訟よりかなり低くなっています。
  また、弁護士費用や協力医への謝礼、鑑定費用等に多額のお金がかかり、
  敗訴すれば払い損に終わります。
  勝訴の見込みの程度と、多額の費用がかかるリスクを考慮して、損害賠償請求の交渉や
  訴訟を弁護士に依頼するかどうか、ご検討いただくことになります。

【飼い犬による事故について】(相談者30代女性)
Q. 私の4歳の息子が近所の飼い犬に噛まれ、大けがをしました。飼い主に責任をとって
  もらいたいです。

A. 通常の損害賠償請求では、請求する被害者側が加害者の過失などを立証しなければ
  なりません。
  しかし、動物が他人に危害を加えた場合は、飼い主側が相当の注意を払って動物を
  管理していたことを立証できない限り、被害者の請求が認められます。
  被害者の立証の負担が軽くなっているのです。
  具体的には犬の種類や性格、鎖につないでいたか、鎖の長さはどうか、被害者側の
  事情(警戒の度合いなど)などを考慮して、飼い主が責任を免れるかどうかを
  判断することになります。

Q. 犬は戸口に鎖でつながれていましたが、鎖が長く犬が門外に駆け出して息子に
  噛みつきました。私が立ち話をしている間に、息子が犬にちょっかいを出そうと
  したようです。

A. 鎖が長く犬が門外に出られる状態だったのであれば、飼い主は責任を免れない
  と思います。

Q. いくら請求できるでしょうか。
A. 治療費、通院交通費、親の付添費、入通院期間に応じた慰謝料などを請求できます。
  もし後遺症が残るようなら、後遺症に基づく請求もできます。後遺症には1級〜14級の
  等級があり、医師の後遺障害診断書に基づいて何級にあたるかを判断します。
  等級に応じて、後遺症による将来の収入の減少がどの程度あるかを判断し、将来の収入の
  減少分を「逸失利益」として請求できます。等級に応じた慰謝料も請求できます。
  後遺症が残るようなら損害額は数千万円単位にもなり得ます。

  ただし、本件ではあなたが息子さんから目を離したのも一因かと思います。
  このように被害者側に過失があった場合は「過失相殺」により、何割か賠償額が減らされ
  ることがあります。
  弁護士に依頼した場合は、以上のように算出した金額の1割程度の弁護士費用も損害と
  して請求できます。


【飼い犬による事故について】
Q. 交通事故に遭い、後遺症が残りました。保険会社が示談金の額を提示してきましたが、
 金額が妥当かどうか、わかりません。

A. 弁護士が代理人となって交渉や裁判をすれば増額できます。
  交通事故の賠償金の算定には、3つの基準があります。

  @自賠責の基準、A任意保険会社の基準、B裁判の基準です。

  @自賠責保険は、すべての被害者に最低限の額を補償しようという趣旨の強制加入保険
  ですから、最低限の額しか出ません。

  今回保険会社が提示してきた額は、A任意保険会社の基準による額です。保険会社は、
  支払う額をできるだけ少なくしようとします。被害者が法律に無知なことにつけこんで、
  足下を見てきます。
  というわけで、保険会社は、裁判で認められる金額よりも少ない額を提示してくる
  のが普通です。

  B裁判実務では、損害額の算定基準は確立されています。
  弁護士が被害者の代理人として交渉すれば、裁判基準に近い額を獲得することが
  できます。保険会社は、弁護士に対しても低い額を提示してくることがありますが、
  「訴訟起こしますよ?」と言うと、額が跳ね上がります。
  弁護士に依頼すると弁護士費用がかかりますが、裁判を起こした場合は、
  全損害額の1割程度が、弁護士費用相当額として損害額に加算されます。

  ですので、裁判を起こせば、弁護士費用も加害者(保険会社)から取ることができます。

Q. 自賠責保険の保険金は、どのように請求するのでしょうか。
A. 任意保険会社が提示してきた金額の中に、自賠責分も含まれています。
  任意保険会社は自賠責分も含めた額を被害者に支払います。その後、任意保険会社が
  自賠責の保険会社から自賠責分の支払いを受けます。

  ただ、任意保険会社との交渉が長引く等の場合には、被害者が自賠責の保険会社に
  直接、自賠責分の請求をすることもできます。

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